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~国内初の網羅的遺伝情報を活用したキノコ栽培にアプローチ~「雪国まいたけ」等の大規模遺伝子情報取得に成功

平成21年3月23日(月)

株式会社雪国まいたけ(本社:新潟県南魚沼市/代表取締役:大平喜信)では、昨年8月より玉川大学関連ベンチャーの株式会社ハイファジェネシス(本社:神奈川県横浜市/代表取締役:奥田徹)、東京家政大学・生物工学研究室(藤森文啓准教授)と連携して、キノコ類の遺伝子解析を行ってきましたが、その第1弾である「雪国まいたけ」「雪国えりんぎ」「雪国ぶなしめじ」の解析が終了、大規模な遺伝子情報(cDNA)の取得に成功しました。 これまでマイタケ、エリンギ、ブナシメジは国内の食用キノコとして主要な品種であるにもかかわらず、栽培工程全般に渡って発現している遺伝子に関する研究は行われてきませんでした。従来、キノコ栽培では試行錯誤と長い経験に基づき品種の選抜を行い、数年、時には数十年を要し、優良形質を育種してきましが、今回の遺伝子解析で、味や香り、食感などの形質に関連する遺伝子を特定することが可能となり、特定された遺伝子をマーカー(目印)として用いることで選抜試験のスピードを大幅に加速し、遺伝子組み換えをすることなく、これまでにない高品質でより美味しいキノコの開発を進めていきます。 さらに育成期間の短縮やキノコ一株あたりの収量増など、現状の生産設備での生産効率向上が期待できることから経営基盤強化につながるものと考えています。 また、キノコはかねてより歴史的な事例や様々な機能性に関する研究から、その効果、効能が注目されておりますが科学的な証明について困難な部分が多く、今回、遺伝子情報を取得したことで科学的な分析が加速し、機能性物質合成のメカニズム解明等が進むものと思われます。

特に抗がん作用の研究で知られるキノコ由来のβ-グルカン(多糖類)は細胞壁を合成する酵素群の働きにより作られますが、この細胞壁合成に関わる遺伝子群が見つかってきており、当社「雪国まいたけ」のグルカンからなるマイタケ抽出物(MDフラクション®)に関しても、機能性成分に関連する遺伝子マーカーを特定し、機能性成分の多い菌株を開発し、品質管理、機能性などの面で強化していきます。

なお当社が特許製法を持つマイタケ抽出物(MDフラクション®)は、2001年より米国のスローンケタリング記念癌センター(MSKCC)において統合医療用の研究材料としても使用されています。

今年4月には第2弾のシイタケ、マツタケの遺伝子情報(cDNA)の取得が完了する予定ですが、その結果と今回の第1弾の遺伝子情報とのトランスクリプトーム解析を行うことで、社内の「雪国まつたけ開発プロジェクトチーム」(チームリーダー:執行役員 研究開発室長 農学博士 西堀耕三)が進めているマツタケの人工栽培技術の研究においても、その実現に向け大いに期待できます。

今回、当社が行っている一般的な食材であるキノコにおける遺伝子情報を活用した取組みは、消費者の皆様に喜ばれる製品の提供と機能性を高めた食品の開発により社会貢献につながるものと考えています。また日本国内にとどまらず、現在、中国、アメリカにおいて進めている海外市場展開においてもその優位性を発揮できるものと確信しています。 当社では将来の世界戦略を推進していくうえでも今回の遺伝子情報取得をはじめ、キノコメーカーのリーダーとして先進的な取組みを積極的に推進していきます。

(注)今回の当社の取組みはゲノム(遺伝情報)解析により、個々の菌株に応じた最適な栽培条件を推定し、キノコ栽培において影響力の大きい培地組成、水分、温度管理などの外的環境をコントロールすることで優良な形質のキノコを開発するものです。 当社では品種改良を目的とした「遺伝子組み換え」はいたしません。

遺伝子情報解析 第1ステージ(トランスクリプトーム解析)の概況

培養、生育、収穫、包装からなる一連のキノコ栽培工程および各工程をさらに前期、中期、後期等さらに細かく分け、栽培時に発現している遺伝子を取りこぼさないように収集し、それらをトランスクリプトーム解析したところ、「雪国まいたけ」「雪国えりんぎ」「雪国ぶなしめじ」各々のキノコが栽培中に発現している遺伝子に関して10,000遺伝子以上の配列を決定することができました。それらの遺伝子配列決定に当たっては、本研究で得たcDNA情報に、すでに全ゲノム配列解読が終了している担子菌(キノコ類)、子嚢菌(酵母、カビ等)など11種類のゲノムデータを統合したデータベースを整備し、遺伝子情報が活用できる体制を整え、データ解析を行いました。その結果、前述の遺伝子配列決定に加えていくつかの興味ある結果が得られています。

●「雪国まいたけ」の遺伝子データベース
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現在、全ゲノム配列が決定されているキノコは、ウシグソヒトヨタケとオオキツネタケの2種類で、キノコのモデル生物として研究が進んでいます。ウシグソヒトヨタケは約13,400遺伝子が予測されていますが、マイタケ、エリンギ、ブナシメジより得たそれぞれの遺伝子と比較した場合、30~40%は機能的に類似した遺伝子であることが予測されました。残りの60~70%の遺伝子の中に、それぞれのキノコに特徴的な遺伝子が含まれている可能性が大きいと考えられます。

※ウシグソヒトヨタケの全タンパク質配列に対して、マイタケ、エリンギ及びブナシメジのタンパク質配列の類似が、ある一定の値を満たす場合に類似遺伝子と定義しています。

●「雪国まいたけ」の遺伝子データベース
PRESS RELEASE

これまでの研究で判明している菌糸成長に関与するhyd2遺伝子や子実体形成に関与するcdc5やpriA, priB, nik1遺伝子などが、「雪国まいたけ」「雪国えりんぎ」「雪国ぶなしめじ」からも見つかりました。今回得た遺伝情報から子実体形成に関与する遺伝子を網羅的に解析し、それら遺伝子が子実体形成時のどの生育段階に関与しているのか調べ、キノコが出来る過程の遺伝的メカニズムを解明していきます。

取得した遺伝情報を活用した目的として、一般的にエリンギはマイタケやブナシメジに比べると培養から収穫までにかかる栽培日数が約半分と短いことから、その違いを三者間で比較解析等することで栽培日数に関与する遺伝的要因等が推察できます。これらの結果から、収量・品質の良い菌株の選別やより効率的な生産技術を開発し、育成期間の短縮による生産性を高めていきます。

※子実体
胞子を形成する組織が形作られた菌糸の集合体、いわゆる目に見えるキノコと呼ばれる部分。

4月末にマツタケの遺伝子情報が決定されます。マツタケの菌は菌根菌と呼ばれ、生きた植物(主にアカマツ)の根に菌根を形成して生長するため、純粋培養による人工栽培技術は未だに確立されていません。すでに全ゲノム配列が判明しているモデル生物のオオキツネタケは、マツタケと同様に菌根菌ですので、このような菌の遺伝情報を含めて解析していくことにより、マツタケを皆様の食卓へ一刻も早くお届けできるように研究を推進していきます。

語句説明

・cDNA解析
ゲノム中に記述されているタンパク質配列のもととなるmRNA部分を遺伝子情報と呼びます。この遺伝子情報は分解しやすいRNAであるために、分解を受けにくいcDNAに変換し、その配列情報の解読を行います。私たちは、網羅的なcDNA解析を遺伝子情報解析の第一ステージと位置付けています。

・全ゲノム解析
生物のもつ遺伝情報を総合的に解析することです。ゲノムを構成するDNA分子の塩基配列の構造を調べることにより、どのような遺伝子を潜在的に有しているのかがわかります。全ゲノム解読を遺伝子情報解析の第二ステージと位置付けています。

・グルカン
ブドウ糖が多数結合した多糖類の総称で、でんぷんに代表されるアルファ・グルカンとセルロースに代表されるベーター・グルカンに大別されます。キノコの多くはセルロースとは異なる結合様式のベーター・グルカンを含んでいます。

問い合わせ先:株式会社 雪国まいたけ
マーケティング部 對馬(つしま) / 菅野(かんの)
TEL:(025) 778-0128(直通)
FAX:(025) 778-0125
e-mail: h-tsushima@maitake.co.jp

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